(1)原状回復のためのクリーニング等の見積依頼
引っ越し後荷物がなくなった時点または鍵の返却時に、入居者は管理会社または大家さんと明け渡しのために、双方立ち合いをした上で、現場で状況を確認します。
1.入居者が故意に汚したり破損させたりしたものがないか
2.通常の生活のなかで、普通利用による劣化や消耗や損耗がないかなどの確認
3.確認後に管理会社または大家さんから、入居者に退去にともなう見積提示
預託金をうわまって現状回復費用がかかる場合は、追加で支払う必要があります。そのため退居前に概算見積もりを依頼する場合もあります。
注意)但し、入居中は家具などがある関係ですべてを確認できないため、退居後に最終見積もりを出すことが多くなります。中には、きちんとした明細を提示せずに、総額だけを伝えてくる管理会社や大家さんもいますので、注意が必要です。そのようなときは、費用明細を出してもらうように要求する必要があります。
(2)見積もり後の交渉
管理会社や大家さんから提示された見積内容や金額に納得いかない場合は、話し合いが必要となります。退去をするときの返金額については、ケースバイケースで、以下に事例をあげましたのでご参考にしてください。
1.ご自分で退去時にきちんとクリーニングをすることで、大家さんや管理会社に納得頂けたら、ハウスクリーニング費用を請求しない場合もあります。その場合、ハウスクリーニング代相当額を預託金に上乗せして返金されます。
2.大家さんや管理会社からハウスクリーニングの免除をご了承いただけない場合は、違うハウスクリーニング業者にも退去費用見積もりを提示してもらう形で、減額交渉をすることになります。その場合、特に管理会社の場合、ハウスクリーニング代相当の10~30%程度を預託金に上乗せして返還してもらえる可能性があります。
3.ハウスクリーニング業者を変更できない場合は、費用明細を確認したうえで、妥当と思われる見積額減額の交渉を目指す方法になります。退去時のガイドライン(賃貸住宅紛争防止条例)や判例などにより、自然消耗および損傷は家賃に含まれるので大家さんの負担であるという見解が主流になってきております。価格交渉において、見積もり項目自体を減らすことができれば、その分退去時の返金額も増えます。また、大家さんが負担すべき項目が入っていた場合、例えばハウスクリーニング費用の0~10%程度を上乗せして返還してもらえる可能性がありますので、目安にしていただくのがよいでしょう。
4.大家さんには2通りのタイプがあります。
①大家さんがご自身で物件を管理している場合
日頃の管理内容や退去時清掃の内容を伝えることで、ハウスクリーニングをしなくてもよいことを了承してもらえる可能性も高まります。
②管理会社に解約処理を委託している場合
管理会社にとっては、退去時の現状回復やクリーニングも収益源の一部となっていることが多いため、減額交渉するか、入居中の関係が良好であれば、大家さんと直接交渉して減額をお願いすることになります。
5.退去時のクリーニングの見積もりの基本
作業工数や間取り等により計算され、何人で何時間かかるという考え方が基本となります。作業項目が少なく、時間がかからない状態になれば、敷金を多く変換してもらえるかもしれませんが、管理会社や大家さんが、収益確保のために応じてくれない可能性があることをあらかじめ理解しておく必要があります。
重要)退去が決まったときに、あらかじめ価格交渉に応じて頂けるタイプの管理会社や大家さんかどうかを、それとなく事前確認しておくとよいでしょう。
6.適正価格の把握
自分では対応できないことがあった場合は、一般的には、大家さんまたは管理会社指定の業者が現地調査の上、見積もりが提示されることになります。その金額が適正かどうかを判断するため、直接別の業者に見積もりを依頼して、価格交渉している方もいます。最近では、できるだけ空室をなくすために、敷金や礼金を下げて入居者募集している物件が多くあります。そのため、預託金である敷金だけでは、現状回復費用を賄えないケースが増えてきています。その場合、追加支払いとなることもありますので、適正価格を把握しておくことはとても重要です。適正価格の把握方法としては、以下を参考にしてください。
①合い見積もりを取得する
一般的に、管理会社や投資を目的とした不動産オーナーは、コストを下げるために、それぞれの分野で3社程度の業者と取引しております。また、相場は時代や景気などによって変化するため、常に新しいクリーニング業者を探しています。価格が安ければよいというものではなく、最低限の仕事のクオリティを保ったうえで、年間の発注数を多くしたり、長期的なお付き合いをしたりすることで、経費を抑える努力をしています。この情報をもとに、管理会社や大家さんに業者の変更や費用交渉に成功する場合もああります。逆に、個人オーナーの場合は、長年お付き合いがある退去クリーニング業者のため、変更にう応じない場合もあります。その場合は、ほかのクリーニング業者の具体的な合い見積もりを見せて交渉することで、少しでも下げることができるでしょう。
②退去時のクリーニングの比較サイトで情報を取得する
インターネットが普及するなか、どの業界も比較サイトが公開されています。退去クリーニングにおいても、無料一括見積のサイトがあり、一般的な目安となる金額が公開されています。
(3)退去時の注意すること
1.掃除と残棄物を残さない
賃貸住宅の契約を解約する際、退去時にクリーニングが入るからと退去時に掃除をしないのは、返金されるべきお金を自ら放棄しているようなものです。やはり、お部屋をお借りしていたことへの感謝を込めて、できる限りきちんと掃除するに越したことはありません。そうすることで、敷金返還につながることになることもあるのですから。ごみや不用品の廃棄 退去時にきちんと掃除をしている人と、ごみや不用品を放置して掃除もしない人では、印象が変わるのはいうまでもありません。不動産管理会社や大家さんとのトラブルを防止するためにも掃除と不用品の撤去は必ず行い残棄物を残さないようにしましょう。
2.掃除のプロがおすすめする便利な掃除ツール
水回りのキッチンや換気扇の掃除に苦労する方も多いのではないでしょうか?プロも使うツールをご紹介します。
①ゲキ落ちメラミンスポンジ 水だけで汚れが落ち軽くこするだけで汚れが簡単におとせることが特長ですが、研磨剤であるため、細かいキズがつくなど、使ってよい場所といけない場所があります。使ってよい場所は、アクリル板、浴槽、フローリング床、塩ビ床、人体、歯、車などです。使ったことで損傷などを起さない為に、しっかり仕様書を確認のうえ、ご利用ください。
②ダイヤモンドパッド お風呂の鏡に、白いうろこのような模様がついてしまった経験が必ずあるのではないでしょうか?水の中に含まれるカルシュウムやマグネシュウムなどが結晶化して白くなったことが原因です。ちょっと放置した汚れだと通常の浴室用洗剤やスポンジで洗っても、なかなかきれいになりません。ホームセンターや100円ショップでも入手できますので、適用洗剤と併用することで、取れない水垢、ウロコ取りには有効な清掃ツールです。
③住宅用せっけんを商品化したTOMIE 弱アルカリ性で、用途は多岐にわたっていて、油性マジックなども、びっくりするほど簡単に落とすことができます。パッケージは化粧品のようですが、退去時クリーニングだけでなく、日常清掃でも利用できる優れものです。
④各メーカの研究により、技術革新や新アイデアにより、より良いものが生まれています。そのような情報は、インターネットで簡単に得ることができます。商品によっては、得意分野と不得意分野がありますので、説明文などをしっかり確認して、うまく使い分けをしてください。
3.退去時の主要4ヶ所の注意点
①キッチン周りのクリーニング方法
a. 油汚れが目立つガスコンロにこびりついてしまった汚れは、液体クレンザーをかけてブラシでこするか、油汚れ用の洗剤を使って拭き取ります。
b. ガスコンロは、使用後まだ少し熱いうちに掃除をすると汚れが落ちやすいです。
c. 換気扇は、ファンやフィルターなどの脱着可能な部品を取り外します。取り外した部品は、油汚れ用の洗剤をまぜたお湯につけ置きして、汚れを浮かせた後に洗います。細かいところは専用ブラシかなければ、歯ブラシなどを利用しましょう。レンジフートの内部の汚れを取るには、ペーパータオルが便利です。ペーパータオルに油汚れ用の洗剤を染み込ませ、レンジフード内に貼り付けてしばらく放置します。汚れがういてきたらそのままペーパータオルで拭き取ります。よごれが人い時には今の作業を何度か繰り返します。
d. 流し台はほとんどの汚れは住宅用洗剤でふき取ることできますが、頑固な汚れにはステンレス用クレンザーが効果的です。塩素系の漂白剤は変色の原因になるので、使用は注意が必要です。がんこな油汚れには、家庭用の油用洗剤に重曹を水で溶いたものを使います。ステンレスの流し台は、目の粗い粉のクレンザーや研磨剤入りスポンジなどでこすると傷がついてしまいますので、注意してください。
②お風呂、トイレ
a. 浴槽は材質や汚れ状態によって使用できる洗剤が異なりますので注意します。また、風呂場の排水溝は、髪の毛などが詰まっていることが多いので、入念に取り除きましょう。髪の毛が残っていると印象が悪く思われます。
b. お風呂の鏡についている水垢やウロコは、水に含まれているカルシウムなどの金属イオンの蒸発が原因でアルカリ性の汚れです。酸性の成分を多く含んだ酢を利用することで、アルカリ性の汚れを溶かしてくれます。汚れを放置せず、できるだけ早く対応すれば、雑巾やガーゼにお酢を染み込ませて鏡を拭くことで、水垢やウロコはきれいに落とすことができます。少し頑固な汚れであれば、ガーゼなどにお酢を染み込ませて水垢やウロコの汚れのある鏡のぶぶんに貼って半日くらいつけ置きすれば、汚れがきれいに落ちます。お酢を染み込ませたガーゼなどを貼っている部分の上からサランラップを貼ると、密封されてお酢が蒸発しにくくなり、効果が倍増します。お酢の匂いが気になる方は、クエン酸をご利用ください。
c. 風呂場のカビは、市販のカビ落とし用洗剤を吹き付けてブラシで軽くこすってしばらく放置、その後、ブラシなどでこすってカビを除去します。カビを落とした後は、洗剤を水で洗い流し、乾いた布で拭き取っておけば、仕上がりがキレイだけでなくカビの再発防止になります。
d. トイレの便器のしつこいよごれも工夫次第で簡単にきれいになります。まずは、便器の中にトイレットペーパーを敷き詰めて、トイレ用の酸性洗剤を振りかけてそのまま1時間ほど放置します。トイレットペーパーを流してブラシでこすると、汚れが落ちが格段よくなります。
③床(フローリング)、壁クロス、ガラスサッシ
a. フローリングは、南向きに近い日当たりのより部屋は、床が日焼けをしやすいので重点的に確認します。フローリングが日やけしてしまうと補修ができず、張替になる可能性もあり、構造上、フローリングは一部だけ張り替えることが難しいため、全面張替になる可能性があり、その場合、高額な費用が発生することを認識しておきましょう。また、フローリングの汚れに関しては、表面はもちろん溝の汚れも確認しておく必要があります。特に最近では、掃除機を使わずに布・紙製の掃除用具で拭くだけという場合も多く、そういった場合は、さらに溝の汚れ・埃が残りやすくなってしまいます。そのため、汚れや埃が溜まり、黒く変色しているように見えることもあります。この溝の汚れは入居者の掃除の仕方によりますので、入居者の入れ替えの際は、徹底的にクリーニングをします。定期的に適切なクリーニングをしておけば、張替せずに長く使用することができます。
b. 壁クロスの汚れは、長年の静電気等の作用により汚れが吸い付き、くすみが気になるものです。一般家庭に多く使われているビニールクロスの素材であれば、中性洗剤を少量使って軽くたたくように拭いていきます。むやっみにゴシゴシこすると、逆にシミになったり、むらができてしまうこともあるので注意します。
c. ガラスサッシは、手あかや結露によるサッシのカビなど、汚れが目立ちやすい場所です。特に結露によるサッシのカビは、借主による掃除の怠りが原因とみなされる可能性があります。まずは、水拭きとから拭き用の雑巾2枚を用意しいて、ガラス用の洗剤をスプレーし、軽く水拭きをしたら、から拭き用の雑巾で水分を拭き去るように拭いていきます。また、結露などによるサッシのカビは、塩素系の漂白剤を使うとよいでしょう。漂白剤のスプレーを使用する場合は、直接噴霧せず布やブラシで塗布し、ラップして数分薬剤を浸透させます。最後は捨ててもよい布でしっかり水拭きしましょう。鼻をつく漂白剤の匂いが残らないように窓を少し開けて新鮮な空気の循環を忘れないようにしましょう。
④和室の掃除方法
a. 和室の畳は、畳と畳の隙間に注意しながら、掃除機は畳の目にそって、畳表に傷がつかないようにゆっくり力を入れずにかけます。掃除機に畳を掃除するモードがついている場合は、そちらに切り替えます。
参考)ほうきを使って掃除する場合は、使い終わったお茶の葉を固く絞ったものを使います。畳の上にばらまいてほうきではいていきます。その後乾いたぞうきんで乾拭きします。雑巾で拭く場合は畳の目に水分がなるべく入らないように、きちっと絞って畳の目に沿って拭いていきます。
b. 畳が日焼けは、掃除機をかけたあと、バケツにお湯で5倍希釈のお酢を使います。雑巾を固く絞って畳の目に沿って拭き、その後乾拭きします。和室の掃除は、エアコンや扇風機を上手に使って空気が乾燥している状態を作って早めに乾かします。
c. 畳のカビは、中性洗剤を薄めて、固く絞った雑巾で拭き取ります。その後、消毒用アルコールを布にとって軽く拭き、乾かした後で掃除機をかけます。
d. 家具をどかしたときに、しっかりと畳に家具の跡がついてしまったような場合は、跡がついた場所に熱めのお湯で絞ったタオルをあてて、その上からアイロンをかけましょう。アイロンをあてたらドライヤーや扇風機を使って早めに乾かします。
e. 畳に焦げ跡があるような場合は、表面の焦げの跡をサンドペーパーなどで軽くこすってから漂白する方法もありますが、まず、ティッシュペーパーなどにオキシドールを含ませて軽く叩くと焦げ跡が漂白されて目立たなくなります。これでダメな場合は、残念ながら畳の表替えしかか方法はありません。
⑤退去時に行うべき掃除のまとめ
敷金が少しでも多く変換されるようにするため、荷物や家具がおかれていたために手が付けられなかった箇所は、すべての荷物が搬出された後に掃除をします。引っ越しの最中にしていては、搬出の邪魔になりますので、できなかったところを最後にクリーニングするために、掃除機、バケツ、雑巾、洗剤などは、荷トラックに積み込まないように引っ越し荷物と分けておく必要があります。ごみや不用品も忘れないようにして、残棄物を残さないようにします。